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ニンジャスレイヤー公式ファンサイト:ネオサイタマ電脳IRC空間

近未来都市ネオサイタマを舞台としたサイバーパンク・ニンジャアクション小説「ニンジャスレイヤー」の日本語版公式ファンサイト。翻訳チームが運営しています。

ニンジャ史の生き字引き? 気ままに暮らす胡乱なメッセンジャー:フィルギア(01)

キャラ紹介

 

「ラスト・ガール・スタンディング」は女子高生ニンジャのヤモト・コキが初登場したエピソードですが、もう一人の主人公としてスーサイドというニンジャが設定されています。彼もヤモト同様、高校生にしてニンジャに覚醒し、暴力の世界に呑まれていきます。人がいかにしてニンジャとなるのか……ニンジャとなって力を得た者にはどんな運命が待ち受けるのか。ニンジャスレイヤーの普遍的テーマを語るエピソードにおいて、最終的に彼はソウカイ・シンジケートの邪悪なニンジャとなる事を拒絶し、ヤモトを守って命を落とした……筈でした。 

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「お客さん。終点ですよ」

 

スーサイドは「ニンジャスレイヤー」第三部で主に活躍するニンジャですが、第一部ごく初期のこのエピソードで死んだと思われていました。彼を物語の中に引き戻し、ニンジャスレイヤーとソウカイ・シンジケートの闘争の陰で人知れず生かしていた謎の存在の名は、フィルギア。装束も着ず、メンポも装備せず、ネオサイタマの闇にまぎれて生きているニンジャです。今回のエントリでは、彼について少し考えてみようと思います。

 ◆フィルギア◆

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「本当だぜ……」

コヨーテ、フクロウ、蛇という三種の動物に任意に変身する能力を持つニンジャ。直接的な暴力を嫌い、邪悪なニンジャ組織に与する事をせず、ネオサイタマの闇の中に隠れ潜んで暮らしてきた。ニンジャソウル憑依者ではなく、彼自身がニンジャ……太古の昔から生き続けるリアルニンジャである。 

◆遭遇時の対処方法◆

f:id:NinjaHeads:20160210120629p:plain理由はわかりませんが、なにか胸騒ぎがします! 

彼を見咎め、後を追ってネオサイタマの路地裏に入っていったニンジャが、その後行方不明になり、忘れ去られた……というケースが何度かあるようです。

彼に関してカラテ戦闘のデータはありませんが、不用意に攻撃を仕掛ける事は無用なトラブルを呼ぶ可能性が高く、あまりお勧めできません。得体のしれないアトモスフィアを感じます。近づかないに越したことはないでしょう。

◆外見的特徴◆

身長約179センチ。黒髪をストレートに長く伸ばし、スリムなジーンズ、フェミニンな印象のシャツ、三種の動物に由来する装飾品や銀のアクセサリ、サングラスを着用する。目の周りに痣めいた赤紫の隈取りをしている場合もある。

◆戦闘スタイル、能力◆ 

ジツ:カラテ比率=9:1

人間の姿で彼がカラテする事は無い。戦闘時はコヨーテに変身し、爪と牙によって相手を殺戮する(コヨーテは戦闘と追跡、フクロウは情報収集、蛇は隠密行動に長ける)。これら動物態の先に、更に一形態、奇怪で神秘的な姿を隠し持つが、身体への負担が大きく、滅多に用いることはない。

なお、原理は不明であるが、変身時に彼の衣類や装飾品が損傷したり脱落する事はなく、変身後の動物が衣類を着ている事もない。変身が終われば変身前と変わらぬ状態の姿に戻る。

ニンジャの中には己の身体を獣人めいた姿に変容させて戦闘力を高める「ヘンゲヨーカイ・ジツ」の使い手がしばしば存在する。また、アクマ・ニンジャ・クランに属するニンジャは、己の身体を金属質の皮膚と皮の翼と角で強化する力を持っている。しかしフィルギアの変身能力はこれらとは質を異にしているようだ。

◆オリジン・エピソード◆

「ラスト・ガール・スタンディング」本編のTwitter連載時には現れなかったが、再放送の直後に、隠れキャラめいて出現した。その後のコミカライズの無印ニンジャスレイヤーでははじめから登場。アニメイシヨンでも総集編でシルエットが登場した。

ニンジャスレイヤー(3) ?ラスト・ガール・スタンディング(ニ)?<ニンジャスレイヤー> (角川コミックス・エース)

ニンジャスレイヤー(3) ?ラスト・ガール・スタンディング(ニ)?<ニンジャスレイヤー> (角川コミックス・エース)

 

ここで彼が言及する「カロン・ニンジャ」とは、アノヨに流れるサンズ・リバーの渡し守とされる伝説的ニンジャ存在である。つまり、ただのジョークだ。フィルギアの諧謔は時として謎めいており、深甚な秘密を含んでいるのか、単にふざけているのか、すぐに判断することは難しい。

書籍においては第三部「死神の帰還」内、「ニュー・メッセンジャー・オブ・パスト・アンド・フューチャー」に、そのくだりに加えて、その後の歩みが書き下ろされている。

ニンジャスレイヤー 死神の帰還 (不滅のニンジャソウル # 2)

ニンジャスレイヤー 死神の帰還 (不滅のニンジャソウル # 2)

  • 作者: ブラッドレー・ボンド,フィリップ・N・モーゼズ,本兌有,杉ライカ
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/エンターブレイン
  • 発売日: 2015/07/25
  • メディア: 単行本
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フィルギアは彼が集めた数人のニンジャの仲間とともに、廃墟ビルディングの屋上で気ままに暮らしている。恐らく何らかの非合法な営みでカネを生み出していると思われるが、闇社会において勢力を伸長したり、非ニンジャを殺戮・搾取する事には興味が無いようだ。

◆重要エピソード◆ 

上記書籍で彼の生き様に興味が湧いた方は、続けて物理書籍「キリング・フィールド・サップーケイ」内、「ヘイル・トゥ・ザ・シェード・オブ・ブッダスピード」を読まれたし。

ニンジャスレイヤー キリング・フィールド・サップーケイ (不滅のニンジャソウル # 3)

ニンジャスレイヤー キリング・フィールド・サップーケイ (不滅のニンジャソウル # 3)

  • 作者: ブラッドレー・ボンド,フィリップ・N・モーゼズ,本兌有,杉ライカ
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/エンターブレイン
  • 発売日: 2015/11/30
  • メディア: 単行本
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内容はTwitter連載時から大幅に改稿されている。

このエピソードにおいてニンジャスレイヤーと初めて邂逅したフィルギアは、必要に迫られて、ニンジャスレイヤーと共にアマクダリ・セクトの陰謀を追う事になる。

 

NINJA FACTS 

太古の昔から生き続ける正体不明の存在

フィルギアはニンジャソウル憑依者ではなく、ニンジャそのもの、リアルニンジャである。リアルニンジャとは、常人がカラテ修行やハナミの儀式を通して「成る」存在であり、そのインストラクション体系が殆ど失われた現代においては、ほんの数名しか存在が確認されていない(その一人がドラゴン・ドージョーのゲンドーソー=センセイだ)。フィルギアは遥か昔にニンジャとなり、長い人の世を……時に長期の眠りを挟みながら……生き続けてきた。

ニンジャになった人間は老化の速度が遅くなる(成長の速度が止まる事はない)。長命化には個人差があるが、20代半ば~30代前半の外見を大昔から保ち続けるフィルギアは、もはや不老と言っても過言ではない。彼がニンジャスレイヤーに語ったところによれば、彼はナラク・ニンジャを実際に見、その暴虐の一端に触れたことがあるという。その後の歩みがはっきりと語られた事はないが、1979年に死んだというパンク・ニンジャに何らかの面識がある。また、1990年代には、北米ロサンゼルスを中心に、幾つかの足跡を残しているようだ。

「北米時代のフィルギアの歩みは、ひとつの中編の形で既にプロットが作成されている。当時の彼に関わった者達……年老いたニンジャハンターと、ロックンロール・ギタリストの破滅の物語だ。僕はロバート・ジョンソンと四ツ辻の悪魔について考える事がよくある。そういう話だ。ニンジャスレイヤーとは特に関係が無い為、本編に組み込む予定はない。ともあれ、しかるべき機会を見て今後公開する事もあるだろう」(ブラッドレー・ボンド談)

ニンジャの軍勢を率い、呪われた剣を手に、伝奇的な古代ニンジャ真実へ向かっていくのがダークニンジャであるとすれば、フィルギアは逆に、古代の世界から現代のネオサイタマに歩み寄り、歴史の真実を繋ぐ存在だ。

ニンジャの装い、しなくていいの?

彼はニンジャ装束を着ておらず、シャツにジーンズというラフな服装だ。たとえばヤモト・コキやディテクティヴなどは、装束を身につけないが、マフラー状のもので口元を覆うなどの事をしている。スーサイドは憑依ニンジャソウルがパンクなのでそういった決まりは無視している。実際、メンポや装束を一切用意しないニンジャというのは珍しく、例外的な存在であるように思える。ニンジャは本質的に闇の戦士である為、カラテの為に装束を着たり、メンポを装着する事はなかば本能的な欲求だ。フィルギアの場合はどうなのだろうか?

ひとつ考えられる理由は、彼があまりに長い年月、非ニンジャの文化の中で暮らしてきた事である。彼は人の営み、俗悪さ、欲望といったものに興味と共感を持ち、積極的に交わろうとしてきた節がある。そしてニンジャ同士のカラテ戦闘とも無縁であった。これが彼を一般的なニンジャ本能から徐々に遠ざけていったものと思われる。

もうひとつ考えられるのは、彼のその変身能力である。彼は人間社会の闇に紛れ、三種の動物に任意に変身することで軋轢を逃れてきた。この変身能力と、くわえて、皮肉や冗談を常に交えて相手を煙に巻くパーソナリティが、メンポの隠蔽性に匹敵しているとも考えられる。

もうひとつは、「サングラス=メンポ」説である。確かにサングラスは素顔や表情を隠す道具でもある。この説はシンプルだ。

実際グッドルッキングなニンジャ……だが

フィルギアは本文中で美形描写が為されている数少ないニンジャの一人である。ボンド&モーゼズは登場人物に関して精緻な外見描写を行う事はあまり無く、おそらくミニマリズム的な態度によって、「○○色の装束を着たニンジャ」などで済ませる事が多い為、これは実際珍しい。しかし彼の場合、それによって更に胡乱な存在感が助長される結果となり、あまりプラスには働いていない。

フィルギアは柳に風とばかりコンフリクトを受け流し、飄々と生き続けてきた。そのアティチュードはマッポーのネオサイタマにおいても変わらない。彼の真意は何か? 何らかの陰謀を胸に抱いているのか? その正体は一体? 問うたところで、真顔で返される答えが真実か嘘か、確かめる術はないだろう。たとえ、時にそれが処世術をすら超えて余計な警戒を呼び、自身の立場を悪くする結果を呼ぼうとも、決して改められる事はない……。

未来へ

ネオサイタマ全域を制圧するアマクダリ・セクトの支配は、彼を自称無害な傍観者のままに留めおく事を許さない。来るべき(02)では、第三部後半における彼の行動、より深いニンジャ真実についてまとめていくことになるだろう。

(Tantou)