ニンジャスレイヤー公式ファンサイト:ネオサイタマ電脳IRC空間

近未来都市ネオサイタマを舞台としたサイバーパンク・ニンジャアクション小説「ニンジャスレイヤー」の日本語版公式ファンサイト。翻訳チームが運営しています。

登場人物紹介:ナンシー・リー(01):勇敢なるLAN直結ハッカー

今回の登場人物紹介は、ニンジャスレイヤーの盟友と呼ぶに相応しい勇敢なる女ハッカー、ナンシー・リーにスポットライトを当てよう。彼女は第1部の初期から最新の第3部まで長期にわたって登場するキャラであり、物語中の役割も部ごとに大きく変遷している。

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「ニンジャスレイヤー=サン、あなたの力が必要なの」

◆外見的特徴◆

豊満なハッカー。強化PVCキャットスーツやレザー・ライダースーツなど、潜入捜査に適したタイトな戦闘服を着用し、左腕にはハンドヘルドUNIXを装着していることが多い。またオイランドレス、キャビンアテンダント制服、バリキドリンク着ぐるみなど、作戦や状況に応じて最も効果的/合理的と思われる衣服を躊躇なく着用する(または彼女の個人的な好みなのかもしれない)。髪はブロンド。瞳は青。右耳の後ろに生体LAN端子が1個空いている。身長は約178cm。美女。

◆戦闘スタイル◆

ハッキング:カラテ比率=9:1程度。ナンシー・リーはニンジャではなく、カラテで状況を打破することはできない。しかし彼女は生体LAN端子を持つヤバイ級ハッカーであり、電脳戦に関してはニンジャ以上の戦闘力を発揮する。ナンシーはニンジャスレイヤーという作品のサイバーパンク要素の大部分をになう存在と言えるだろう。ちなみに、ネオサイタマのハッカーは、そのタイピング速度によって「スゴイ級」「テンサイ級」そして最上位の「ヤバイ級」に分類される。彼女は最上位のハッカーなのだ。電脳IRC空間内では、ニンジャ相手でも引けをとらぬ戦闘力を発揮する。

 ナンシーはニンジャではなくモータルであるため、そのカラテ能力については判断が分かれるところだが、武器があれば少なくとも一般市民よりは明らかに強いと考えて間違いないだろう。デリンジャー、アサルトライフル、ショットガンなどの銃器を一通り使いこなす。だがあくまでも「モータルにしては強いほう」という範疇を超えず、ニンジャに対して物理戦闘で勝利することは不可能であり、クローンヤクザ人海戦術の前にも無力である。

このようなピーキーな戦闘スタイルを持つため、ナンシーがニンジャスレイヤーと共闘する時は、安全な場所からLAN直結接続を介して電脳支援を行うのがセオリーだ。精神をIRCに完全没入している間、彼女は完全に無防備になっている。当然、その「安全な場所」を襲われてしまった場合は、なすすべもなく拘束されてしまうだろう。ナンシーが登場するエピソードでは、事前調査やハッキングなどのシーケンスと、ニンジャスレイヤーのカラテ突破シーケンスが交互に描かれることが多い。彼女は作戦全体を構築する裏方であり、ハッキングによって味方全体を支援するのだ。そしてそもそも彼女がいなければ、情報解析などが進まず、ニンジャ事件捜査は行き詰まってしまうのである

◆並外れたハッキング能力◆

全てのニンジャの戦闘力を決定づける絶対的要素がカラテであり、補助的にジツが存在しているのと同様に、ハッカーの戦闘力はUNIXのキータイピング速度が絶対的指標であり、補助的にコマンドオプションなどのトリックが用いられる。皆さんもSF映画やアクション映画などで、ハッカーがUNIXのキーボードを信じがたい速度で叩いているシーンを何度となく見たことがあると思われるが、実際その通りなのだ。「タイピングが速い=強い」という方程式は、ネオサイタマ電脳IRC空間における単純明快かつ奥深いルールとなっている。では、具体的にハッキング能力が高いと何ができるのか? 実例を挙げてみよう。

・高速のKICKコマンドによって敵ハッカーのニューロンを焼き切る

・施設内の電子的トラップやロックを解除して先に進む。

・施設内の監視カメラ全てに意識の根を張り、敵の動きを監視する。

・TV局のUNIXシステムをハッキングし、敵のスキャンダル映像を放送する。

敵大型戦闘兵器に対してLAN直結し、破壊または鹵獲する。

などである。これらは全て高速タイピングによって成し遂げられるのだ。

 

◆オリジン・エピソード◆

記念すべきナンシー・リーの初登場エピソードは、「ネオサイタマ炎上1」に収録の短編「ベイン・オブ・サーペント」である。相棒ホゼの遠隔支援を受けて「ヤンバナ・サシミ事件」のキーパーソン「タラギ・ウェイ」に接触しようとしていたフリージャーナリストのナンシー・リーは、「タヌキ」という血のダイイングメッセージを残して死体に変わったタラギ、そして謎のニンジャと遭遇することとなる。これがニンジャスレイヤーとナンシー・リーの出会いである。ナンシーはタラギを殺したソウカイヤの刺客コッカトリスに襲われるが、ニンジャスレイヤーの介入によって一命を取り留めるのだ。

ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上 (1)

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この時点でのナンシー・リーは極めて未熟であり、ハッカーらしい部分も見られず、ただ大胆で行動力のある女フリージャーナリスト、といった程度の印象しか与えない。実際、ニンジャスレイヤーからも「ソウカイヤを甘く見るな、キョートにでも亡命せよ」と忠告を受けるほどである。彼女は負けん気が強く、ここからソウカイヤとの本格的な戦いに乗り出し、ニンジャスレイヤーと徐々に共闘関係を築いてゆく。だがこの後も、事あるごとに敵ニンジャに捕獲され、拘束されてしまう。実際、第1部のナンシー・リーは勇敢だがウカツなのだ。

 

 ◆重要エピソード◆

「ネオサイタマ炎上3」の「ワン・ミニット・ビフォア・ザ・タヌキ」が、第1部におけるナンシー・リーの重要エピソードとなる。タケウチ・ウイルスの解毒アンプルを求めてヨロシサン製薬のプラントに侵入したナンシーとニンジャスレイヤーは、「タヌキ」の謎を解き、さらにソウカイヤのネットセキュリティ担当であるダイダロスと決着をつけるのだ。またこのエピソードは、ニンジャスレイヤー世界における高位ハッカー電脳戦が初めて描写され、コトダマ空間やそこに浮かぶ黄金立方体について言及された回でもある。
ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上 (3)

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ニンジャスレイヤー(5) ?ワン・ミニット・ビフォア・ザ・タヌキ?<ニンジャスレイヤー> (角川コミックス・エース)

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=====  NINJA FACTS  =====

◆コトダマ空間に何を見る?◆

ナンシー・リーはIRCコトダマ空間認識者である。それは、本来ただの文字列でしかないIRC空間内を、まるでヴァーチャル・リアリティ空間のように認識したり、そこを自由自在に飛翔したりする能力だ(逆に言うならば、ネオサイタマの電脳空間内にこのような3Dプログラムされた仮想現実空間が存在するわけではない)。

コトダマ空間認識者の多くは生体LAN端子を持ったヤバイ級ハッカーであり、自らのニューロンの速度で周囲の世界の定義を書き換え、敵性プログラムをハックし、敵対ハッカーのログイン気配を本能的に察知し、ニューロンを焼く。要するにIRCコトダマ空間認識者は、電子的戦闘を直感的に、より高速に行えるようになる。仮に、タイピング速度が同程度であった場合、電脳空間戦闘ではコトダマ空間認識者のほうが圧倒的に有利である。ただし、コトダマ空間認識者になることで、アカウントの死によって物理肉体にも多大なダメージを受けたり、ニューロンを焼ききられるリスクが増えたり、謎めいたインクィジターに遭遇してしまうなどの危険性も生ずるため、リスキーではある。

IRCコトダマ空間に関しては、ニンジャスレイヤーの特異なサイバーパンク世界観の根幹を成す存在でもあるため、いずれ個別の考察記事でまとめる予定だ。 

 

◆ニンジャスレイヤーとの共闘を通して◆

ニンジャスレイヤーの致命的な弱点とは何か? 麻痺毒だろうか? 射撃戦だろうか? どうしても1つだけ挙げろと言われれば、それは彼が「ハッカーではない」事だ。電脳都市ネオサイタマにおいて、これは極めて大きな不利である。ニンジャを殺すための情報収集には限界が生じ、またUNIX制御されたトラップなどはカラテて破壊して強引に進むしか道がない。当然、行き詰まる。よって、ナンシーのような腕の立つハッカーと弱点を補い合わなければならないのだ。逆にナンシーの側からも、ニンジャという超人が跋扈する裏社会では、強力なボディーガードが必要となる。それがニンジャならば最高だ。
おおむねそのようにして始まったニンジャスレイヤーとナンシーの共闘関係は、初めはギクシャクしていたが、次第に強固な信頼関係で結ばれてゆく。今となっては信じられないが、初期の二人の関係はあまりよくなく、ニンジャスレイヤーは事あるごとに「オヌシは、ジャーナリストとしての目的を果たすために、私をいいように使っているだけなのでは?」とナンシーに対して疑念を露わにしていたほどだ。しかし前述した「ワンミニット〜」辺りを契機として、危険を顧みず信念を貫こうとする彼女に対し、共に戦う戦士としてリスペクトを抱くようになる。
ナンシーの大きな魅力のひとつは、モータルであるにも関わらず、常にニンジャスレイヤーと対等な立場にあろうとすることだ。ウカツが続いてニンジャスレイヤーの足を引っ張ってしまうと、かなり意気消沈してテンションが落ちているのが見て取れる(そしてすぐに気分を切り替えているようだ)。大胆でタフで打たれ強く、常にポジティブに成長を続けようとするナンシーの姿勢が、彼女を常人離れしたハッカーへと成長させていったのだろう。

◆急性ザゼン中毒と戦線離脱◆

1部のナンシー・リーはハッカーとしては未熟であり、ヨロシサン製薬のザゼンドリンクを大量摂取してトリップ状態に入らなければ、IRCコトダマ空間での戦闘が困難であった。ハッカーと薬物は由緒正しきサイバーパンク的組み合わせであるが、当然ながらこのような無茶を続けていれば、肉体とニューロンの双方に多大なダメージをもたらすこととなる。

結果として、ナンシーは急性ザゼン中毒から意識不明ログイン状態になってしまい、第2部の序盤から中盤にかけて戦線から離脱してしまう。何事にも代償が存在するのだ。この顛末は第2部の「シージ・トゥ・ザ・スリーピング・ビューティー」で、また急性ザゼン中毒であった頃の痛々しい病状については、BD用特別書き下ろしの「デイ・オブ・ザ・ロブスター3」などでも明かされている。

 
◆未来へ◆
ここでは第1部〜第2部冒頭におけるナンシー・リーについて紹介した。02以降では、急性ザゼン中毒から復活した第2部後半から第3部にかけての彼女の変化などについて、また謎めいた彼女のモチベーションなどについて見ていこう。
(Tantou)